エクストラバージンオリーブオイルの定義その①

これまでオリーブオイルの「デフェット(欠陥)」についてお話をしましたが、今回はエクストラバージンオリーブの定義についてお話します。

少し乱暴な分け方ですが、オリーブオイルは大きく2つに分けることができます。それは、そのオイルが精製されているか、精製されていないかの違いです。さて、どっちの方がランクが上なんでしょうか。

ご存知の方も多いと思いますが、オリーブオイルはオリーブの果実を搾って作られる、いわば100%天然オイルジュースのようなものです。搾油機から出てきたオイルは、一切熱処理や化学処理をしないで、そのまま食用油として製品化されます。

このようにして作られたオイルがバージンオリーブオイル、あるいはエクストラバージンオリーブオイルというランクのオイルとなります。

こちらの一切の熱処理・化学処理、すなわち精製処理を施していないオリーブオイルの方が、上のランクのオイルと定義されています。

オリーブオイルの持ち味は、なんといってもその新鮮な香りとさっぱりした食味、ピリッとした辛みや苦みなんかの、天然素材由来の成分がフレッシュなまま入っていることです。精製という工程を経ることで、それらの魅力は一切なくなってしまい、たんなる植物油としての性質だけが残ります。

そのようにして作られた精製オリーブオイルは、単にオリーブオイルとだけ表記されます。ちょっと昔だとピュアオリーブオイルなんて呼んでいましたが、ピュア=純粋ということが誤解を与えるということで、単にオリーブオイルと呼ぶようになりました(現実には未だに、ピュアオリーブオイルなんて名称でたくさん販売されていますが・・・)

精製する理由は簡単です。搾油した油の状態が悪くて、とてもそのまま食用にはできないからです。なかでも決定的なのは酸化です。食用油としては、酸化の度合いを示す数値である酸度(遊離脂肪酸の含有率)が3.3%を超えると、そのままでは食料品として認められなくなります。そういった食用に適さないオリーブオイルのことを「ランパンテ」といいます。ランパンテとはランプ用オイルということです。

そこで、これを食用できる状態に戻すために、精製という工程を経て、酸度を下げて製品化していくわけです。

ちなみに、写真はスペインの大手オリーブオイル生産工場で撮った写真。油槽の中に入っている真っ黒けの液体はオリーブオイル。むせ返るような酸敗臭してましたが、こんなものも精製して製品化しちゃうんですかね。

いわゆるサラダ油として販売されている植物油は、コーン油であれ綿実油であれ、一部の例外を除いてはほぼ精製という処理を施して製品化されます。精製することによって、酸度を下げ、製品としての安定度を高めますが、本来の素材の持っている香りや味はほとんど抜けていってしまいます。お水で言えば、理科室にある精製水みたいなもんです。たんなるH2O、純粋だけど味も素っ気もない無味無臭のもの。あるいはお酒でいえば甲類焼酎、蒸留前のイモやムギなんかの素材の香りや味を消してしまってアルコール成分だけを残した焼酎群ですね。

製品として売っているオリーブオイル(精製オリーブオイル)は、エクストラバージンオリーブオイル特有の新鮮な香りやキレのいい味もありません。オレイン酸を主成分としたオリーブオイルとしての性質は残りますが、食品として考えた時に、そのオリーブ特有の風味が抜け落ちてしまうとなると、安価なサラダ油との優位性がなくなってしまい、単に割高な植物油ということになってしまいます。

そんなことから、今のところ、精製したオリーブオイルを使う理由はあんまりありませんよね。少々(いや、かなり)高価でも、オリーブオイルとしての優位性を求めるなら、「良質な」エクストラバージンオリーブオイルを使いたいですね。

 

次回は、エクストラバージンオリーブオイルの定義と、もう一つ「良質な」の持っている意味をもう少し詳しくお話しましょう。

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