オリーブハマチって知ってますか?

オリーブハマチってご存知ですか?
わたしたちが住むこの香川県では今や当たり前になったこの食材。食べられる時期に限りがあって、毎年9月の中旬から12月までの4か月間。この期間になると、香川県のスーパーの店頭のハマチはほぼオリーブハマチに切り替わります。少し前までは、天然ものやほかの養殖物も並行しておいていた時代もありましたが、今では全く見かけることはありません。2008年に初めて出荷されたオリーブハマチ、そのおいしさを知っている香川県の人たちは、もはやオリーブハマチしか買わないからです。
それほどまでに美味しいオリーブハマチって、一体どんなものなのでしょうか。

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もともと香川県の東部の引田という地区は、ハマチやブリの養殖の発祥地として有名で、県内外にも多く出荷していました。
ハマチってお魚は血合いがあって、時間が経過するとその色がどす黒くなって美味しくなさそうになってしまいます。地元の漁業関係者がこれを何とかしようと、香川県の農政水産部と共同で開発を進めようとしたのが始まりです。
血合いをどす黒くさせる原因は、色素タンパク質の一種であるミオグロビンが酸化することでメトミオグロビンを生成(メト化)するためだということはすでに広く知られており、その抑制のための冷凍技術等が開発されていました。
一方で、香川県では給餌によってその褐変反応を抑制しようと考えた時に、オリーブの持っているポリフェノール成分に着目します。オリーブの持っているポリフェノール成分の一つ「オレウロペイン」には、強い抗酸化作用があることは、経験的にも化学的にもすでに実証済みであり、このオリーブを使うことでメトミオグロビンの生成を抑制できるのではないかと考えました。
では、早速実験してみようと養殖ハマチのエサにポリフェノールたっぷりのオリーブの葉っぱの粉末を混ぜて給餌してみたところ、見事に血合いの色が鮮やかなピンクに染まったハマチが出来上がったんです。そして、そのきれいな色は時間が経ってもどす黒く変化することなく、鮮やかな発色を保ってくれたんです。
大成功です、オリーブポリフェノール「オレウロペイン」が予想通り、血合いの色をきれいに留めるという大仕事を務めてくれました。

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ところが、色が良くなっただけでは終わりませんでした。食べてみたそのハマチの刺身の味、今まで食べていた養殖ハマチのベタッとした脂っこさとは無縁の、さっぱり爽やかな味、さらには養殖魚特有の臭いも一切感じられない、今まで味わったことのないハマチになっていたんです。
包丁を入れた切り身、その断面は端正に光り輝き、お刺身の良しあしを構成する大切な要素である鋭角に切り立ったカドは、時間の経過を経ても全くへこたれることなく、鋭くその美しさを保ち続けています。
血合いがどす黒く変化するのを何とかしたい、というテーマから始まったオリーブハマチプロジェクトの結果は、その当初の目的を完璧に果たしてくれただけでなく、それを何倍にも上回るとんでもない副次的な成功をもたらしてくれたんです。
筆者が初めてオリーブハマチに触れたのは、2010年の秋、柵で購入したオリーブハマチに包丁の歯元を当てた瞬間
「え?ハマチってこんな弾力あったっけ?」
普通養殖のハマチのは脂が良く乗って柔らかい身質で、包丁の重みだけでスッと切れていくものですが、このオリーブハマチはぷりっぷりの弾力で包丁を押し返してくるんです。

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この時点でオリーブハマチがただものではないことに気付きますが、いざそれを食べてみて2度びっくり。
それまで持っていた養殖ハマチのネガティブなイメージ、生臭い、脂がしつこい、色が悪い、抗生物質まみれ、といったこととは無縁のおいしさ。臭みなど一切ないし、脂はのっているのにしつこくなく、時間がたっても変色しない美しいピンクの身色。
当時小学生だった筆者の息子は、魚の生臭さが大の苦手で、お刺身はその鮮度に関わらずほとんど食べることができませんでした。そんな彼がオリーブハマチの刺身を口にして
「パパ、これなら食べられる」
なんてこった、オリーブポリフェノールっていったいどれだけすごい力を持っているんだろう。この日は、筆者がオリーブの仕事に身を投じる大きなきっかけを作った日となりました。
そして、その日買ってきたハマチのお刺身が残ってしまったので、冷蔵庫で保管することになりました。翌日の朝になって、もったいないから付け焼きにでもして食べようかな、なんて冷蔵庫から取り出したそのハマチの身が、まだツヤツヤで切り口のエッジもしっかり立っているんです。食べてみてもまったく臭みを感じないし、身質もしっかりした状態を保っています。タイやヒラメのようなお魚ならいざ知らず、ハマチのような青物がこれだけの鮮度維持をしていることに驚くばかり。
そのスッキリした身質は調べてみると、他の養殖ハマチと比べて体脂肪率が3~4%落ちていいます。しかもその脂の質がとても良質なものとなっており食べてもとても爽やかな脂となっています。
オリーブハマチは、出荷前の2週間、餌に対して2%重量のオリーブの葉の粉末を混ぜて給餌して育ちます。

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オリーブハマチは出荷時には3.5~4.2㎏くらいの大きさとなりますが、その大きさの魚の身質をたったの2週間の給餌で大きく変えてしまうオレウロペインの力、実はハマチのみならず、他の魚介類でも多くの実例を生み出しています。例えばタイへの給餌では、コラーゲンたっぷりでカツオのように紡錘形に近い弾力いっぱいのタイが出来上がります。

このオリーブハマチの大成功は、単にブランドハマチとしての美味しい食材を作りだしたということにとどまりません。オリーブポリフェノールがこれ程までにハマチを健康にしたという、誰の目にも明らかな事実は、いかにオリーブが生物の健康に良い影響を与えるかを、なによりもわかりやすく説明してくれています。
オリーブが健康にいいっていう誰でも知っている話、これまで化学の目からもいっぱい語られていますが、この季節に是非香川に足を運んで頂いてオリーブハマチを食べながら、オリーブの健康効果を実感して頂きたいです。

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