オリーブオイルのデフェット(欠陥)①

1990年代、それまで洋食と言えばフランス料理一辺倒だった日本に、「イタ飯」という言葉とともに空前のイタリアンブームが起きました。それ以来、着実に消費者に浸透してきたオリーブオイル。同じ期間にワインについての知識や理解度、流通する商品の品質は飛躍的に上がってきましたが、ことオリーブオイルに関しては、未だに正しい知識が伝えられず、市場に出回る商品も品質的には「?」というものが多いのが現実です。

よく

「オリーブオイルって独特の匂いがするわよね」

「オリーブオイルのちょっとあのクセのある匂いが苦手で・・・」

なんて会話を聞くことがありますが、たいていの場合その独特の匂いというのは「デフェット」といわれるオリーブオイルの欠陥の匂いなんです。

デフェットといいうのは、オリーブオイル鑑定士が欠陥のあるオリーブオイルの香りに対して使う言葉で、いろいろなデフェットがあります。

写真は、スペインでのオリーブオイル鑑定士によるオイル鑑定の風景です。鑑定の仕方についてはまた次の機会にしますが、エクストラバージンオリーブオイルを名乗るためには、いくつかの条件が必要なんですが、そのうちの一つに、このデフェットが全く入っていないことが挙げられます。

 

典型的なデフェットは「Avinado」と呼ばれる匂い。

Avinadoとは「ワイン化した」という意味で、少し酸味を帯びたような発酵臭をさします。量販店なんかで買う安い価格帯のオリーブオイルにはたいがいこの匂いが入っています。Avnadoが現れる原因は簡単です。収穫したオリーブの果実を何日も貯蔵することで、実が発酵していくことで出てくる匂いです。

 

イタリアやスペインの生産現場でオリーブ工場に行くとよくわかります。収穫した果実が入っているコンテナからすでにこの匂いがプーンとしてくるのです。

搾油する前から入っている匂いなんで、この果実から搾油されたオリーブオイルはそのままAvnadoの匂いが入っていきます。腐ったブドウでワインを作れば、ワイン自体も腐った臭いがするのと同じです。

※スペイン語ではAvinagarado

 

他に良く出てくるデフェットはRancidと呼ばれる「酸敗臭」大掃除で換気扇掃除したときのこびかたまった油の臭いありますよね、あの匂いです。

※スペイン語ではRancio

 

その他にも、カビ臭、生ごみ臭、金属臭、土の臭い・・・なんていろいろあります。それぞれが原因があって出てくるもので、生産者が正しい知識と高い意識を持って丁寧に作れば本来出てこないものばかりです。例えば土の臭い、これなんかとてもわかりやすくて、地面から拾い集めるオリーブの実に土がついて混じってくる臭いなんです。私たちがオキオリーブでは、収穫するときは枝から直接実をちぎって、収穫袋に入れるので、理論的にこの臭いが入ることはないんです。金属臭は搾油機の清掃が悪くて出てくるサビの臭いだし、すべての欠陥は丁寧な仕事をさぼって出てくる「人災」なんです。

そこまで分かっているのに、なんで世の中にはこれほど多くのデフェットオイルが存在するんでしょうか?次回はそのあたりを。

 

 

 

 

 

 

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